【ニュース】仏マクロン大統領が北京入り 異例の2日間国賓訪問 ウクライナ・通商摩擦が焦点

フランスのマクロン大統領は水曜日、北京に到着し、2日間の日程で中国への国賓訪問を開始した。通算4回目となる今回の訪中は、ウクライナ情勢での溝や、対中貿易赤字の拡大など、両国間の懸案事項が山積する中での実施となる。

マクロン氏は現地時間午後5時(日本時間午後6時)過ぎに北京入り。木曜日には人民大会堂で習近平国家主席との首脳会談に臨む。両首脳は金曜日にも四川省成都へ場所を移し、非公式な形での会談を行う予定だ。

マクロン氏には外相、経済相ら6閣僚のほか、エアバス、EDF(フランス電力公社)、ダノンといった大手企業や高級ブランドなど、経済界のトップ35人が同行している。仏大統領府は訪問に先立ち、「欧州が中国の主要なパートナーとして尊重されることを目指す」と強調した。

最重要課題はウクライナ情勢だ。ロシアのプーチン大統領が領土的条件を含む強硬姿勢を崩さない中、マクロン氏は習氏に対し、戦略的パートナーであるロシアへの働きかけを強め、停戦を受け入れるよう説得することを改めて求める方針だ。 中国は和平交渉を呼びかける一方、ロシアによる侵攻を非難せず、対ロ制裁にも反対の立場をとる。EUが2027年秋までのロシア産ガス輸入禁止で合意する中、中国はロシアからの資源調達を継続しており、西側諸国からはロシアの軍事産業への部品供給など、事実上の支援に対する懸念も根強い。

経済面では、対中貿易赤字の是正が急務となる。仏中間の赤字幅はここ10年で倍増し、2024年には470億ユーロに達した。 仏側は、中国の過剰生産能力による輸出攻勢が「市場閉鎖」や「景気後退」といった地政学的リスクを招くと警戒感を強める。マクロン氏は中国企業に対し、フランスへの投資拡大や、持続可能なモビリティ、バッテリー、太陽光発電などの分野での技術共有を促す考えだ。

通商摩擦も火種となっている。中国政府による産業補助金が「不公正競争」を招いているとの批判がある中、フランスが中国製EVへのEU関税引き上げを支持したことに対し、中国側はコニャックや乳製品などを対象とした調査で対抗。追加関税の可能性も示唆している。 仏大統領府はこれらの調査を「容認できない」とし、最高レベルでの協議を行う構えだ。一方でフランス側も、中国発のEC大手「SHEIN(シーイン)」について、違法商品販売を理由にサイトの一時停止を求めており、双方が厳しい視線を向け合う。

訪問中には複数の経済協定の署名が見込まれるほか、ブリジット夫人が成都のパンダ保護センターを訪問するなど、軟硬織り交ぜた日程となる。 マクロン氏は人権問題についても提起する見通しで、チベット人権団体からは、7月に拘束された活動家Zhang Yadi氏の即時解放を求める声が上がっている。

【出典】20 minutes 12月3日配信記事 『Chine : Macron est arrivé à Pékin pour une visite d’Etat exceptionnelle de deux jours sur fond de lourds contentieux』(https://www.20minutes.fr/politique/4189398-20251203-chine-macron-arrive-pekin-visite-etat-exceptionnelle-deux-jours-fond-lourds-contentieux