レブサメン大臣、「コルシカ国」と発言に波紋

コルシカ島の自治法案を巡る議論が白熱する中、担当大臣の失言が新たな波紋を広げている。国土整備・地方分権を担当するフランソワ・ルブサメン大臣は7月30日、法案説明の席でうっかり「コルシカの国(pays corse)」と口走り、直後に訂正したものの、この「失態」が法案の根幹を揺るがす恐れがあるとの見方が強まっている。

今回の法案では、コルシカ独自のアイデンティティを示す「コルシカ共同体(communauté corse)」という概念が盛り込まれており、これが憲法上の問題を生じさせるとの指摘が相次いでいる。憲法学者の中には「共和国の基本原則に反する」と警鐘を鳴らす声も上がっており、政府は国務院の削除勧告を押し切ってこの文言を維持した経緯がある。レブサメン大臣は閣議後、「この自治確立は共和国の原則に反しない」と強調したが、一方でコルシカ議会は文言変更に強く反発。このため、国民議会、そして両院合同会議での法案承認は難航が予想されている。

「国」か「地域」か、言葉の重み質疑応答の中で、レブサメン大臣は「コルシカは国、いや、地域、失礼」と口ごもった。過去に「コルシカ人民(peuple corse)」という表現が却下された経緯があるだけに、大臣は「共同体は人民ではない」と釈明。しかし、その後の失言は「コルシカの独自性を過度に強調しているのではないか」という批判に拍車をかけることとなった。この失言は、法案に反対する勢力、特に与党共和党(LR)の重鎮であるブリュノ・レタイヨー内務大臣の格好の攻撃材料となるだろう。レタイヨー氏は以前から、「コルシカ共同体の承認は共同体主義の容認であり、コルシカ人民の概念を認めることに他ならない」と強く反対してきた。大臣就任後もこの姿勢は変わらず、先の閣議では「国務院の助言が採用されなかったことは遺憾」と表明し、法案が「不満しか生み出さない」との懸念を示している。

ルブサメン大臣が「妥協のテキスト」として成立に自信を示す中、今回の失言は、法案審議の行方を一層不透明にするものと見られている。コルシカの自治を巡る議論は、この一言で新たな局面を迎えるかもしれない。