サルコジ元仏大統領の有罪判決めぐり、裁判長に「殺害脅迫」か

パリ検察、異例の2件の捜査開始

ニコラ・サルコジ前仏大統領(69)に汚職と不正な口利きで懲役5年、収監命令の判決を言い渡した裁判所の女性裁判長に対し、「殺害や重大な暴力の脅迫」と受け取れるメッセージがインターネット上で送られていた問題で、パリ検察は26日夜、「別個の2件の捜査」を開始したと発表した。

捜査は、オンライン上のヘイト(憎悪表現)対策を専門とする「国家部門」に委ねられたという。

これに先立ち、治安判事労働組合(USM)は同日午後、脅迫メッセージを確認したとして司法当局に通報していた。サルコジ氏は一貫して無罪を主張しており、判決後、支持者らによる司法批判がインターネット上で噴出。今回の脅迫もその流れの中で発生したとみられる。

検察は改めて、「公権力を持つ者への殺害脅迫」は懲役5年に処せられる重罪だと警告。また、ネット上のサイバーハラスメントについても、懲役2年、罰金3万ユーロの刑が定められていると注意を喚起した。

検察は声明の最後に、「民主主義社会において、司法の議論は刑事訴訟手続きの枠組みの中で行われることが不可欠だ」と強調。「判決に不服がある場合の正当な手段は控訴であり、表現の自由も他者の安全を危険にさらす行為を限界とする」と述べ、司法への不当な圧力や攻撃を牽制した。