パリ控訴院長「厳粛に」司法尊重訴え

リビアの資金提供疑惑を巡る事件で、ニコラ・サルコジ元仏大統領に有罪判決が下されたことを受け、判決に関わった裁判官に対する殺害予告や個人的な脅迫が相次いでいる問題で、パリ控訴院のジャック・ブーラール第一院長は27日、声明を発表し、司法機関の独立性と公平性を尊重するよう「厳粛に」呼びかけた。

ブーラール院長は、声明の中で、サルコジ氏に懲役5年の実刑判決(収監は延期付き)を言い渡した刑事裁判所の裁判官らを標的としたメッセージが交流サイト(SNS)で拡散されていることに「強い懸念」を表明。「民主的な法の支配の下で、司法判断への批判がいかなる場合であっても、裁判官への脅迫として表明されることはあってはならない」と訴えた。

また、ジェラルド・ダルマナン辞任法務大臣(司法権の守護者)も同日、SNSへの投稿で、裁判官に対する「脅迫を一切の留保なく非難する」と表明した。

ダルマナン氏は、これらの脅迫行為は「民主主義においては全く容認できない」と強調。司法判断への異議申し立ては「個人的な攻撃の暴力」を通じて行われるべきではないと付け加えた。

パリ検察庁は、サルコジ氏に判決を言い渡した刑事裁判所所長への「脅迫的なメッセージ」を受け、すでに2件の捜査を開始し、オンライン上の憎悪表現などを扱う専門部署に捜査を委託している。

ブーラール院長は、サルコジ元大統領が関わった別の事件(ビスミュット事件)で、判決を下した裁判官が元大統領側から批判された際にも、同様に裁判官を擁護する異例の介入を行っている。