ニースで銃乱射事件、2人死亡5人負傷

フランス南部の都市ニースで25日夜(現地時間)、麻薬密売所周辺で銃乱射事件が発生し、市民2人が死亡、2人の未成年を含む5人が負傷した。事件を受け、フランス政府は治安維持部隊(CRS)約60人を現場のレ・ムーラン地区に緊急派遣した。地元政治家らは、事件の背景にある麻薬取引を問題視し、国に対し「恒久的な」警察の増強を強く要求している。
事件は同日午後9時10分ごろ、同地区の主要広場近くで発生。目撃情報によると、プジョー 3008に乗った複数の襲撃犯が、集まっていた人々に向けて発砲したという。
死亡した2人のうち、1人はチェチェン出身の父親(58)、もう1人はニース生まれの20代の若者だった。負傷者のうち数人は、麻薬取引とは無関係の通りすがりの市民だったと見られ、ニース検察庁は「命に別条はない」としている。
犯行に使用されたとみられる車両は、事件から間もなくニースから25km離れた場所で焼け焦げた状態で発見された。車両は盗難車で偽造ナンバープレートが取り付けられていた。
現場からは、カラシニコフ突撃銃(7.62 mm口径)のものとみられる薬莢25個と、9 mm口径の薬莢5個が回収された。後者の薬莢が犯人の武器か、あるいは応戦によるものかは特定されていない。
孤立し、麻薬取引の温床となっているレ・ムーラン地区を巡っては、かねてから治安対策の強化が求められていた。県当局は、今年に入って同地区と周辺地域で約300人を麻薬取引に関連して逮捕した。しかし、地元政治家からは「一時的な対策では不十分」との批判が上がっている。
クリスティアン・エストロジ ニース市長は、内務大臣に対し、同市とムーラン地区への「恒久的な治安部隊の応援」を強く要請したことを明らかにした。