控訴審で拍手喝采の中、ジゼル・ペリコさん到着

フランスの司法界を揺るがせた「マザン集団レイプ事件」で、一審での有罪判決を不服として唯一控訴した元加害者とされるフサメッティン・D被告(47)の控訴審が6日午後、ニームの裁判所で始まった。被害者のジゼル・ペリコさん(72)は、駆け付けた大勢の支持者から温かい拍手で迎えられ、毅然とした態度で法廷に入った。
ペリコさんはこの日、ピンクのジャケットを羽織り、支持者と握手を交わしながら裁判所へ。終始、報道陣に対しては沈黙を貫いたが、隣を歩く息子のフロリアン氏が彼女の肩に手を添える姿からは、固い決意がうかがえた。
昨年12月の一審判決で、元夫を含む51人の男性が有罪判決を受けて以来、ペリコさんは一切公の場での発言を控えてきた。その彼女が、この新たな裁判でどのような証言をするのか、「世界のフェミニズムのアイコン」となった彼女の「沈黙を破る言葉」に世界が注目している。
一方、被告のフサメッティン・D被告は、健康上の理由などから保釈中の身で出廷。野球帽、マスク、サングラスで顔を隠し、松葉杖をついて極めて目立たないように裁判所へと入った。
裁判所の前では、「レイプにうんざり」「レイプ犯は恥を知れ」などと書かれたプラカードを掲げたペリコさんの支持者たちが集結。「ヒステリックな編み物グループ(Tricoteuses Hystériques)」と名乗るフェミニスト集団は、毛糸玉とスローガンが編み込まれた布を手に座り込み、被害者への連帯を示した。
ペリコさんが1年前に元夫ら51人の被告の裁判に臨んだ当初、彼女は全くの匿名であり、異例の事件が彼女を保護するため非公開で行われるとの見方が強かった。
しかし、彼女は「恥の向きを変えるために」と実名で公に立ち向かうことを決断し、一躍、世界的なフェミニストの象徴となった。「彼女は法廷へ向かい、闘志を燃やしている」と、一連の事件がフランス社会における女性への性暴力問題への関心を高める中で、控訴審での彼女の動向に再び大きな関心が集まっている。