ジュビラー被告、最後の最後まで「妻に何もしていない」 デルフィーヌさん殺害事件、本日午後にも評決

2020年12月、妻デルフィーヌさん(当時33歳)を殺害した罪に問われている夫のセドリック・ジュビラー被告(38)は17日、タルン重罪院での評決を前に、「デルフィーヌに何もしていない」と改めて無罪を主張した。4週間にわたる注目の裁判は結審を迎え、裁判官3名と陪審員6名が退廷し、午後にも有罪・無罪の判断が下される見通しだ。

検察側は、ジュビラー被告に対し懲役30年の厳罰を求刑。行方不明となったデルフィーヌさんが自宅から離れていないことを示す捜索犬の反応や数々の状況証拠から、被告の有罪は揺るがないとしている。検察官は「彼の無実を主張するなら、専門家や証言、そして捜索犬の証拠もすべて否定しなければならない」と強く訴えた。

これに対し、弁護側は「誤審へのレッドカーペットだ」と捜査のあり方を厳しく非難し、無罪を要求。

「衝動的な殺人であれば、必ず大量の痕跡が残るはずだ。しかし、この事件には殺害の物的証拠が一切ない」と主張し、証拠の不足を指摘した。弁護士は、警察が当初から被告人を有罪と決めつけ、「状況証拠の束」でシナリオを作り上げたと訴え、「疑わしきは被告人の利益」とする原則に基づき、陪審員に「合理的な疑い」をもって判断するよう求めた。

憔悴した様子の被告は、裁判長から最後の発言を促され、「デルフィーヌに何もしていない」の一言を述べた。

この短い発言に対し、デルフィーヌさんの遺族の弁護士は「この法廷の最初から聞いているように、感情のこもっていない言葉だ」と厳しく批判した。

評決は、9人のうち7人以上が有罪と判断した場合にのみ下される。注目の評決は、本日午後にも発表される予定だ。