仏予算2026審議、緊迫の金曜:富裕税と年金改革停止が焦点

フランス議会下院(国民議会)は2026年度国家予算案の審議で、今週金曜日に富裕層への課税強化と年金改革の停止という二つの主要な政治的争点を巡る議論を行う。社会党(PS)は政府に富裕税導入を迫っており、これが拒否されれば不信任案提出を示唆するなど、政局は緊迫。セバスチャン・ルコルニュ首相も議論に参加するため議場を訪れる見通しだ。
この日の審議の目玉は、経済学者の名を冠した「ズックマン税」に関連する提案だ。左派は、1億ユーロ超の資産に最低2%を課税する案を擁護。
これに対し、社会党(PS)は、妥協案として1000万ユーロ超に3%課税するが、革新・家族経営企業を除外する「ズックマン・ライト」案を提示。税収を150億ユーロと見込む。しかし、極左政党「不服従のフランス(LFI)」からは「穴だらけの税制」と批判され、左派内でも足並みが乱れている。与党や右派からも反対論が強く、成立の見通しは立っていない。
また、並行して行われる社会問題委員会では、年金改革の停止が議論される。これはPSが内閣不信任決議を回避する条件として政府に認めさせた重要事項だ。
しかし、年金制度改革そのものの「廃止」ではなく、法定退職年齢引き上げの「延期」に過ぎないとの見方から、LFIなどの一部左派は委員会での採決に反対票を投じる構えを示しており、可決されるかは不透明だ。与党内の一部や保守系野党は、この停止条項自体の削除を提案している。
【出典】20minutes 10月31日配信記事 『Budget 2026 : Zucman, patrimoine et retraites… « Journée majeure » vendredi à l’Assemblée』(https://www.20minutes.fr/politique/assemblee_nationale/4182712-20251031-budget-2026-zucman-patrimoine-retraites-journee-majeure-vendredi-assemblee)

