【パリ・ファッションウィーク】注目の的は「デザイナー交代劇」 9大メゾンが新体制で挑む

サンローラン、ルイ・ヴィトン、クーレジュ、バルマンの名は、今回は脇役だ。
今週月曜日(9月29日)にパリで開幕するファッションウィークで、最も熱い視線が注がれるのは、これら古豪ではない。理由はその裏にある。ファッション界のビッグメゾン9社において、新任のアートディレクター(クリエイティブディレクター)による「ファーストコレクション」が発表されるという、一大イベントが控えているからだ。
火蓋を切るのはディオールだ。水曜日、ジョナサン・アンダーソンが、前任のマリア・グラツィア・キウリ氏(8年間在籍)から引き継いでわずか4ヶ月で、彼なりの「ニュー・ルック」を女性に向けて提示する。ゼンデイヤやリアーナといったセレブを顧客に持つ彼は、今年6月のメンズラインで既に高評価を得ており、期待は高まる。
翌日には、一般にはまだ馴染みが薄いポルトガル人、ミゲル・カストロ・フレイタスがミュグレーでデビュー。ド派手でシースルーなボディスーツで知られるケイシー・カドワラダー氏の後任を務める。同日、カルヴェンでも、影の実力者と称されるマーク・トーマスが初コレクションを披露する予定だ。
プロエンザ・スクーラーの創設者であるジャック・マッカロウ氏とラザロ・ヘルナンデス氏は、金曜日にロエベの歴史に新たなページを刻む。ロエベは、アンダーソン氏が11年間にわたり手腕を振るい、ブランドを飛躍させたスペインの老舗だ。
偉大な先人の足跡を追うのは容易ではない。「継承」と「刷新」という難問に、ベルギー人デザイナーのグレン・マーテンス氏が挑む。Y/Projectに12年、2020年からディーゼルを率いる彼は、土曜日にマルジェラでジョン・ガリアーノ氏の後任として、得意の「だまし絵」や「歪曲」の技術を駆使する。
同じ土曜日は、今回のファッションウィーク最大の目玉の一つだ。ピエール・パオロ・ピッチョーリ氏の復帰である。ヴァレンティノの元スターデザイナーは、デムナ氏が去ったバレンシアガの再建という、極秘任務さながらのミッションを託された。ランウェイからクロックスやIKEAのバッグは消えるのか。その動向に注目が集まる。
一方、長年にわたり若手デザイナーをゲストとして招き、自身のアーカイブを再解釈させてきたジャン=ポール・ゴルチエには、ついに後継者が誕生する。「モード界の新しい悪童」と呼ばれるオランダの若手、デュラン・ランティンク氏だ。彼のデビューは10月5日(日)で、同日にはセリーヌでマイケル・ライダー氏の初コレクションも予定されている。