アステリックス新作、ポルトガル人の「体毛」描写に細心の注意

人気漫画『アステリックス』シリーズの最新作『アステリックスとルシタニア人』が23日、発売された。今作の舞台は古代ポルトガルだが、制作陣は従来の「国民性ステレオタイプ」の描写について、細心の注意を払ったことを仏紙「20 Minutes」に明かした。

オリジナル作者であるルネ・ゴシニ氏とアルベール・ユデルゾ氏の時代には、キャラクターの過度な風刺が特徴だったが、後を継いだ脚本のファブカロ氏と作画のディディエ・コンラッド氏は、「ステレオタイプの『扱い』に非常に神経を使った」と語る。

伝統的に、ポルトガル人は「毛深く、人懐っこい漁師や石工」といった固定観念で描かれがちだった。ファブカロ氏は、「我々はその点に注目されていると認識していた。ポルトガル人のキャラクターを豊かな体毛で描くことは、絶対に避けなければならなかった」と説明する。コンラッド氏も、「すぐに『ボディシェイミング(体形批判)』だと非難されただろう」と、現代における表現の難しさを認めた。

同氏は、「今の時代、些細な主張でも激しく批判される。国民的なステレオタイプを描くことは非常に難しい」としつつ、「無意識に少し自主規制しているのだと思う。この時代がそれを要求しており、我々も自覚している」と、表現の自由に対する制約を認めた。

ただし、主人公のオベリックスがポルトガル人に変装する場面などでは、あえて茶色の体毛を描き込むといった「妥協」も行っているという。

ファブカロ氏はまた、作品執筆時に故ゴシニ氏の存在を意識し、「これは彼が是としただろうか?」「アステリックスの『文法』を逸脱していないか?」と常に自問していると明かした。

ゴシニ氏らが活躍した1960~70年代は、「外国人訛りの誇張や、超風刺的な体型を描くことに何の問題もなかった」(ファブカロ氏)という。コンラッド氏も、「当時はより自由だったが、ゴシニ氏とユデルゾ氏が悪意のない人だったため、多少の行き過ぎも許容されていた」と分析した。

ファブカロ氏は「ユーモアは進化し、規範も変わった」とし、今作では外国人訛りについても、一部の語尾を「ão」で終わらせる程度に留めた。「これも時代の要請だ。そして、おそらくその方が良いのだろう」と締めくくった。

【出典】20minutes 10月23日配信記事 『Poils, accent… Comment les auteurs de « Astérix en Lusitanie » ont-ils appréhendé les clichés sur les Portugais ?』(https://www.20minutes.fr/arts-stars/culture/4180932-20251023-poils-accent-comment-auteurs-asterix-lusitanie-apprehende-cliches-portugais