欧州、夏・冬時間切り替え廃止なるか? 今週末が最後の可能性も

欧州連合(EU)で、年2回の夏時間(サマータイム)と冬時間への切り替えを廃止する議論が再燃している。今週末に冬時間への移行を控える中、欧州委員会は市民から強い支持を得ているこの改革案の実現に向け、改めて取り組む姿勢を示した。しかし、加盟国間で意見がまとまらず、2018年に提案されて以来、法案は長らく棚上げ状態にある。

この時間切り替え制度は、1970年代の石油危機時にエネルギー節約を目的に導入された。しかし、約半世紀が経過し、省エネ照明の普及などにより、EU機関自身もそのエネルギー節約効果は「わずか」であることを認めている。

一方で、睡眠障害や健康への悪影響、交通安全上のリスクなど、市民生活へのマイナス面が公の議論で重要視されている。

2018年に行われたEU史上最大の市民意識調査では、参加者の84%が廃止を支持し、欧州議会もこれを承認した。だが、どの時間を恒久的に採用するか(夏時間か冬時間か)で加盟国の意見が対立し、法案の成立が足踏みしている。

欧州委員会のツィツィコスタス運輸委員は、ストラスブールでの議論で「もはやエネルギー節約にもならず、多くの人々を悩ませるこの制度に、ついに終止符を打つべき時が来た」と述べ、速やかな行動を強く訴えた。スペイン、ポーランド、フィンランドなどは廃止を支持しており、スペインのサンチェス首相も「年2回の時間変更はもはや何の意味もない」とSNSで発言した。

実現には27カ国全ての合意が必要であり、その調整は難航が予想される。しかし、合意に至れば、今週末に得られる1時間の睡眠が、ヨーロッパにとって「最後の恩恵」となるかもしれない。

【出典】20minutes 10月23日配信記事 『Heure d’hiver : Et si c’était la dernière fois dimanche ? La commission européenne y travaille』(https://www.20minutes.fr/societe/4181275-20251023-heure-hiver-si-derniere-fois-dimanche-commission-europeenne-travaille