仏社会保障予算案、医師の超過料金に規制強化へ

フランス国民議会(下院)の社会問題委員会は30日までに、急増する医師の超過料金(dépassements d'honoraires)を抑制するため、社会保障財源法案(2026年度)に規制強化の措置を採択した。医療費抑制と国民の医療アクセス格差是正が狙いだ。

特に問題視されているのは、公的医療保険の定める基本料金(tarif conventionnel)を超えて医師が患者に請求する超過料金だ。政府の説明によると、超過料金総額は急増しており、国民の自己負担を増大させている。

委員会で採択された主な措置は以下の通り。

現在、医師の超過料金には3.25%の社会保険料(cotisation)が課せられているが、政府が政令(décret)によって、この追加課徴金(surcotisation)の税率を柔軟に引き上げられるようにする。これにより、超過料金の増加に対する実質的なペナルティを強化し、医師に公的保険診療の枠内で活動するよう促す。

与党側は、超過料金の「加速」を非難し措置を擁護。一方で野党共和党のティボー・バザン議員は、この税率引き上げ分が最終的に「患者への転嫁」という形で医療費に上乗せされ、逆効果になるリスクがあると警告した。

さらに、公的医療保険(Assurance maladie)から資金提供を受けている分野で、「明らかに過度な収益性」が確認された場合、保険側が一方的に診療報酬を引き下げる権限を政府に与える条項も採択された。

政府の添付報告書では、2024年に保険償還額が38億ユーロに達し、増加が著しい放射線治療のほか、臨床検査や透析分野が、規制の対象となり得ると指摘されている。

環境派グループの議員が提出した、これらの収益性評価を公開する修正案も満場一致で採択されており、透明性の向上も図られる。

社会保障予算案は来週、国民議会の本会議で審議される予定だ。政府は国民の医療費負担軽減を図るが、医師団体などからの反発も予想される。

【出典】20minutes 10月30日配信記事 『Budget de la Sécu : Les députés s’attaquent aux dépassements d’honoraires des médecins』(https://www.20minutes.fr/sante/4182459-20251030-budget-secu-deputes-attaquent-depassements-honoraires-medecins