仏アルジェリア作家 サンスル氏を解放

アルジェリアで「国家の統一を乱した」罪に問われ、禁錮刑に服していたフランス・アルジェリア国籍の作家、ブアレム・サンスル氏(81)が、アブデルマジド・テブーン大統領の恩赦により解放され、12日夜(現地時間)、ドイツ軍用機でベルリンに到着した。同氏は、前立腺がんの治療を受けるため、直ちに市内の病院に搬送された。

今回の解放は、独仏両国による集中的な外交交渉の結果である。

フランク=ヴァルター・シュタインマイヤー独大統領は、サンスル氏の健康状態の悪化を受け、人道的見地から早期解放を繰り返し要請。報道官によると、大統領顧問がアルジェに赴き、作家をベルリンまで付き添った。マクロン仏大統領も、テブーン大統領とシュタインマイヤー大統領に対し、**「ドイツの仲介努力と人道的行為」**に感謝の意を表明した。

ドイツ大統領は、アルジェリア側の恩赦を「重要な人道的行為」と称賛し、これが「両国間の信頼関係の質を示すもの」だと強調した。サンスル氏は、仏大使を含む外交関係者に護衛されながらの移送となった。

著名な作家であるサンスル氏は、2024年10月のフランスメディアへの発言が問題視され、2025年3月に禁錮5年の実刑判決を受けていた。問題とされたのは、アルジェリア西部の一部地域がフランスによる植民地化以前はモロッコ領であったとする発言で、「国家の統一に対する侵害」と認定された。

収監生活は1年に及び、サンスル氏の健康状態が懸念される中での解放となった。サンスル氏の娘は「父が現地で亡くなるのではないかと悲観していた」と述べ、安堵の表情を見せた。

サンスル氏のベルリン到着は、アルジェとパリ間の緊張関係の一つの区切りとなり、マグリブ地域におけるドイツの外交的役割の増大を象徴する動きとして注目されている。

【出典】20minutes 11月12日配信記事 『Grâce de Boualem Sansal en Algérie : L’écrivain est bien arrivé en Allemagne』(https://www.20minutes.fr/monde/4185292-20251112-grace-boualem-sansal-algerie-ecrivain-bien-arrive-allemagne