【ニュース】マクロン大統領、農家の怒り受けメルコスール協定の審査延期を要求

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、国内で農家の不満が爆発的に高まっていることを受け、欧州連合(EU)と南米のメルコスール(アルゼンチン、ブラジルなど)諸国との間で進む自由貿易協定(FTA)の審査を延期するよう、欧州委員会のトップに求めました。

大統領周辺筋は15日、「現時点では、フランスの農家を守るための要求が満たされていない」と述べ、この協定について「まだ不十分だ」との認識を示しました。

現在、フランス国内では家畜の病気(ランピースキン病)への政府の対応などに対する農家の抗議活動が激化しており、マクロン大統領は特に敏感なこの農業関連の協定問題を沈静化したい考えです。

フランスの首相府も、協定署名に向けて今週予定されていたEUでの「期限」を延期するよう要求しました。

首相府は「欧州の農業に対する正当な保護措置を確保するため、12月の期限を延期し、作業を続けるべきだ」と主張。「いかなる採決を行うにも、現時点では条件が整っていない」と強調しました。

欧州委員会は、今週末のメルコスール首脳会議で協定を仮署名したい意向でしたが、フランスの要求により、そのスケジュールに大きな圧力がかかっています。

協定に反対するフランスの農家を納得させるため、EU各国は、輸入が市場を混乱させないためのセーフガード(緊急回避措置)や、輸入食品にもフランスと同じ環境基準(農薬使用など)を守らせる「ミラー措置」が協定に盛り込まれることを強く求めています。

フランス政府は、この二つの「保護策」が確保されない限り、協定の承認はできないとしており、EU内の議論はさらに長期化する見通しです。