今年も早いもので、残すところあと1ヶ月となりました。「今年こそはフランス語を話せるようになりたい」という年始の目標、達成できましたか?

「単語も覚えた、文法もやった。でも、いざフランス人を目の前にすると言葉が出てこない…」

そんな悩みを抱えたままの方へ。今回は、普段は教室の正規会員様にしか教えていない「会話力を飛躍的に上げるための鉄則」を、このコラムで特別に公開します。私からの少し早いクリスマスプレゼントです。

上達しない人がやっている「勝手な終了」

私は12年以上、多くの学習者を見てきましたが、会話が上達しない人にはある共通点があります。

それは、「自分で勝手に会話を止めてしまう(ターンを終えてしまう)」ことです。

一言二言話した後に、「これで合ってるかな?」「通じたかな?」と不安になり、自分で言葉を切って相手の反応を待ってしまう。実は、この「自分からかけるストップ」こそが、上達を妨げる最大の原因なのです。

「止める」のはあなたではなく、相手の役割

ここで、会員様にだけお伝えしている「会話の絶対ルール」をお教えします。

それは、「会話を止める権利は、話し手(あなた)にはない。聞き手(相手)にある」ということです。

相手が「分かったよ」「なるほど」と相槌を打ったり、あなたの言葉を遮って質問してくるまで、あなたは絶対に話を止めてはいけません。

文法が完璧でなくても、一つの文章が終わっても、まだ相手が止めてこないなら、「つまり…(C'est-à-dire...)」「例えば…(Par exemple...)」と繋いで、話し続けてください。相手が止めるまでは、あなたのターンは終わっていないのです。

実は「DELF/DALF」合格の秘訣でもある

この「話し続ける」という技術、実はフランス語の公的試験であるDELF/DALFの口頭試験においても、非常に大きな武器となります。

試験官が見ているのは、完璧な文法よりも「コミュニケーションを維持する力(流暢さ)」です。 多少の間違いがあっても、沈黙せずに言葉を紡ぎ続ける姿勢は、試験官に「会話能力が高い」と判断され、確実な加点対象となります。逆に、正しい文法を探して黙り込んでしまうのが一番の減点対象なのです。

試験でも日常会話でも、「沈黙しない」ことが最強の戦略です。

「受け身」な性格の人にこそ効く理由

「そうは言っても、そんな強引なこと私には…」

そう思われた方もいるかもしれません。しかし、実はこのメソッドは、「慎重な性格の人」や「受け身な人」にこそ、劇的な効果を発揮します。

なぜなら、「どこで終わればいいか」を自分で悩まなくて済むからです。「相手が止めるまで話す」というルールさえ守れば、相手の顔色を伺ってモジモジする必要がなくなります。 このルールを取り入れたことで、会話への恐怖心が消え、驚くほど話せるようになった生徒様がたくさんいらっしゃいます。

フランス語は「競争」ではありません

最後に、大切なことをお伝えします。

今回ご紹介したメソッドは非常に効果的ですが、フランス語学習は誰かとの競争ではありません。

この「話し続ける練習」も、すぐにできる人もいれば、少し時間がかかる人もいます。個々によってスピードが異なるのは当然のこと。周りと比べる必要は全くありません。

どうぞ、ご自身のペースを大切に守ってください。「焦らず、でも止まらず」続けることが、一番の近道です。

来年も、皆さんがそれぞれのペースで、フランス語という素晴らしい世界を楽しめるよう心から応援しています。それでは、良いお年をお迎えください!